
OEMでカップ麺を作ることをおすすめしない理由

カップ麺をOEM生産して欲しいという依頼は多いです。気軽に食べられる国民食なので、オリジナル品を作ったり、ノベルティで作ったりしたい気持ちはよく理解できるのですが、やはりカップ麺をオリジナルで作るというのは、小さな会社にとってハードルが高い仕事になります。ここではオリジナルのカップ麺を作る難しさについて、考察したいと思います。
・「売れる」が見込めるカップ麺
・販促品としても優れたカップ麺
・万人受けするノベルティグッズ
・賞味期限が長い代表的な食品
・小ロットで生産できないカップ麺
・小ロットで作るなら、生ラーメンがお勧めの理由
・テストマーケティングをしてからカップ麺を作っても遅くない
「売れる」が見込めるカップ麺
「オリジナルのカップ麺を作りたい!」と思っている人は思いのほか多いです。実際、Googleの検索キーワードの需要を見てみると「オリジナルカップ麺」というキーワードを調べている人が多いことが分かります。おそらく、食品関連の企業としてオリジナルのカップ麺を作りたいという思いがあったり、販促品としてオリジナルカップ麺をプレゼントや景品として配りたいという企業側の思惑があったり、なにかしらオリジナルカップ麺をビジネスに使いたいという人が多いことが背景にあるのではないかと思います。
販促品としても優れたカップ麺
なぜ、オリジナルのカップ麺は人気なのでしょうか。まず、宣伝する面積が他の食品よりも大きいのが特徴です。蓋の部分や側面など、イラストや写真、文章などの書き込み面積が多いため、オリジナルのデザインやキャッチコピーを書き込みやすいというのが人気の要因のように思います。
万人受けするノベルティグッズ
もうひとつの人気の理由は、ラーメンが国民食だという点が大きいと思います。ご存じの通り、ラーメンが嫌いな人はいません。大人から子どもまで、みんなラーメンが大好きです。そのため、商品として販売してもある程度、売れることが確約されていますし、プレゼントや景品として渡しても喜んでもらえる確率が高いため、「オリジナルカップ麺を作りたい」という企業側からの要望が多いのではないかと思います。
賞味期限が長い代表的な食品
3つ目の人気の理由は賞味期限が長い点です。パッケージも固く、保管が容易のため、在庫としても積み上げやすい上、長期にわたって商品を売ることができるので、売り手としては都合のいい商品と言えます。
このようにオリジナルのカップ麺を作りたい人は、ビジネスにおいて数々のメリットがあることから、独自のカップラーメンを作り方をネットで探しているのです。
小ロットで生産できないカップ麺
しかし、現実問題としてオリジナルのカップ麺を作ることは非常に難しいです。一番大きなハードルはロットの問題です。パッケージを作るためには発砲のケースと蓋をオリジナルでデザインしなくてはいけません。デザイン料が発生するのはもちろん、デザインした版下を作らなくてはいけないので、コストはべらぼうに高くなります。
さらに、カップ麺を作る機械はある程度のロット数がないと回すことができないので、数千、数万個の単位が「最低限の発注量」になる可能性もあります。
また、もうひとつのハードルとしては、商品の開発コストの問題もあります。麺や味などをオリジナルで作るとなると、その開発費も相当かかると思います。いろいろな研究者が様々な味を何度もテストして、ようやく見つけ出してそれを商品化するわけですから、小さな会社が「よし、カップ麺でも作ってみるか」と小ロットで生産できるような商品ではないのです。
あまりにも身近にカップ麺を食べているせいか、簡単にオリジナルのカップ麺が作れると思っている人が多いのですが、実は小ロットで作るとなると、なかなかハードルが高い商品になるのです。
小ロットで作るなら、生ラーメンがお勧めの理由
もし、小ロットでもいいからオリジナルのラーメンを作りたいというのであれば、生麺で作ることをお勧めします。生麺であれば小ロットで作れますし、パッケージだけ変えればいいので低コストでオリジナルのラーメンを作ることが可能になります。自社でオリジナルのラーメンを作るのであれば、あえて莫大なコストがかかるカップ麺を選ぶのではなく、オリジナルの生麺を販売してみて、そこから販促の戦略を練っていくのも一手だと思います。
小ロット、低コストだけが生麺のメリットではありません。まず、ラーメンの味がカップ麺と比較して抜群にうまいです。当たり前のことですが、麺はもちもちしていますし、スープとの絡みが非常にいいです。
また、カップ麺よりも生麺のほうが健康的なので、お客様に対しての印象がとてもいいです。「インスタント食品を自分の子供に食べさせたくない」という親御さんにとったら、これ以上のない商品といえます。
テストマーケティングをしてからカップ麺を作っても遅くない
三つめのメリットは低コスト小ロットで制作できるので、テストマーケティングがしやすい点があります。いきなり数千、数万のカップ麺を作って失敗したら、それこそ目が当てられません。賞味期限の長いカップ麺といえども、1年以内には絶対に売りさばかなくてはいけないので、売れ残ったらそれこそ大赤字です。
しかし、このような損害を防ぐために、まずは生麺でオリジナルラーメンを作り、そこでテストマーケティングを行ってからカップ麺を作ってみるほうが、リスクを最小限で抑えることができます。ヒット商品を作るために、いくつかのパターンを作って生麺から売り出してみるというのも、今の時代に適した売り方と言えます。
オリジナルのカップ麺を作りたい人が多いと思いますが、いきなり大きなリスクを背負って作るのではなく、小ロット、低コストで生麺のオリジナルラーメンを作ってみるのも一考する価値はあると思います。
自社商品として販売するのはもちろん、プレゼントや景品としても使用することができるので、いろいろなビジネスシーンでオリジナルのラーメンを活用してもらえればと思います。
監修/経営コンサルタント 竹内謙礼